この表現はアウト!整体院・治療院で注意すべき広告表現を詳しく解説

この表現はアウト!整体院・治療院で注意すべき広告表現を詳しく解説
(2020.01.24更新)
 
治療院(整体院など)を開業するときに、チラシや情報誌などで広告を行うでしょう。
ただ、治療院の広告には使ってはいけない表現があるのをご存知ですか?
 
知らずに使ってしまうと、法律違反になってしまう可能性もあるため注意が必要です。
そこで今回は、整体院・鍼灸院・接骨院・あん摩マッサージ指圧院で注意すべき広告表現を詳しく解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
 
※鍼灸院・あん摩マッサージ指圧院は「あはき法」、接骨院・整骨院は「柔道整復師法」という法律があり、広告に関する規制があります。
※整体院を対象にした法律は、現在ありません。ただし、今後は整体院の広告も自主規制の対象になりそうなので、その前提でお読みください。

医業類似行為

医業類似行為
整体院・治療院の広告表現に規制がある理由は、提供するサービスが医業類似行為にあたるからです。
 
治療院で行うサービスの目的は「体をいい方向に向かわせること」、この点が医療行為と似ているとされています。
 
医療行為は医師法によって、医師のみができる行為として厳しく定められ、治療院(整体院)で医療行為を行うことは禁止です。
 
※ただし2019年11月、厚労省が開催した「広告に関する検討会」で「医業類似行為」の定義の議論がなされています。同時に、整体院などの国家資格を持たない施術所を「非医業類似行為」と定義する動きもあり、この点はまだ注視が必要です。

医業類似行為の種類

医療類似行為は、法律で認められているものと法律に基づかないもの、2種類に分かれています。
法律で認められている医療類似行為としては、国家資格のある「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」「柔道整復師」が行うものがあります。
 
一方で整体院で行う施術は、法に基づかない医療類似行為です。
法律に基づかない医療類似行為でも、人の健康を害する恐れがない安全なものであれば開業可能と理解され、開業が認められています。
 
整体院の提供するサービスが、法に基づかないものの提供が認められていることを踏まえ、広告表現には同様な配慮が必要と覚えておきましょう。

整体院・治療院の広告表現に関する法律

整体院・治療院の広告表現に関する法律
具体的に、整体院の広告表現の規制に関係している法律は、以下の5つです。
 
 ・医師法
 ・あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(あはき法)
 ・柔道整復師法
 ・医薬品医療機器法(旧薬事法)
 ・景品表示法
 
治療院のチラシや広告を出す場合には、この5つの法律に違反していないか確認が必要です。

広告NG表現例5つ

治療院・整体院の広告は規制が多く、法律上掲載できることが限られています。
広告では原則として名前や場所など最低限の情報を伝え、治療院のホームページに誘導しましょう。
広告NG表現例を5つご紹介します。
※整体院の場合には、今後の自主規制を前提にしてご覧ください。

誇大広告

「最高の技術」「もっとも効果のある」などの最大級表現は誇大広告にあたるため、広告で使用することができません。
また、「糖尿病が治る」「アルカリ体質になります」といった表現も、効果の誤認につながるためNGとなります。

経歴・出身校の名称を載せる

整体院の広告の中に、これまでの経歴や出身校を載せようと考える方も多くいるでしょう。
ただ、これは医療類似行為の法律によって広告することが禁止されています。

具体的な施術内容

具体的な施術内容を広告することも、法律で禁止されています。
施術内容は整体院の根幹に関わるものですが、チラシや情報誌では広告できないことを覚えておきましょう。

治療・治るという表現

整体院は医療類似行為の中でも、法律で認められていないものであることから、「治療」や「治る」という言葉を使うことはできません。
 
そのため、お店の名称も「〇〇クリニック」「〇〇治療院」といったものは控えましょう。
(この点は現在、厚労省「広告に関する検討会」で議論中です)

医薬品・医療器具ととられるような表現

整体院では、健康食品や健康器具の販売をすることがあります。
このときも医薬品・医療器具ととられるような表現は禁止です。
 
「ガンが治る」や「ガンの治療」といった表現は、広告だけでなく口頭でも使うことができません。
また、「これを飲むだけで膝の痛みが消えます」といった表現もNGです。
十分注意しましょう。

広告に載せてOKな事項

医療系の資格を取得するには費用がかかる
治療院・整体院の広告に載せることができる事項は以下のとおりです。
 
 ・施術者の氏名
 ・住所・電話番号
 ・施術所(店舗)の名称
 ・施術日(営業日)・営業時間
 ・予約・主張による施術の実施
 ・駐車場の案内
 
これ以外の事項について、広告はできません。
チラシや広告は、一旦出してしまうと物が残ってしまうため、作成前にきちんと確認しましょう。
 
治療院・整体院の広告について、開業の前にしっかりと知識として覚えておいてください。
※こちらも整体院の場合には、今後の自主規制を前提にしてご覧ください。
 

治療院で使える表現

治療院で使える表現
治療院(整体院)では広告表現以外にも、営業中に口頭でも使用が禁止されている表現があります。
そこで、項目ごとに治療院・整体院で使える表現をまとめました。
広告表現の規制とあわせておさえておきましょう。

「改善」「緩和する」「和らぐ」

整体院で提供するサービスは、医療行為とは区別されるため、「治る」という医療行為を思わせる表現は禁止です。
 
そのため、「症状が改善する」「痛みが緩和する・和らぐ」などの表現に置き換えましょう。
「◯◯の動きを良くする」「可動域を広げる」といった表現もわかりやすく、オススメです。

「受付時間」「営業時間」「休業」

病院などでよく使われる「診察」「診療」「休診」といった表現も、整体院では使用できません。
「受付・営業時間」「休業・定休」など、医療を連想させない表現を使いましょう。

「お客様」「施術を受けた方」

病院では利用者を「患者」と呼びますが、整体院では「お客様」もしくは「施術を受けた方」といった表現で呼びましょう。
 
日頃から注意していないと、つい医療機関のような表現を使ってしまうことがあるでしょう。
特に口頭では、きちんと言い直すなど誤解を受けないように注意が必要です。

「栄養補給」「健康維持」

健康食品や健康器具を販売する場合には、特に言葉に注意しましょう。
法律に違反する表現で販売を行うと、広告表現だけでなく販売自体が違法となってしまいます。
 
具体例としては、特定の病名を挙げて「病気が治る」などは禁止です。
認められている表現としては、「栄養補給」や「健康維持」目的のものが挙げられます。
 
ただ、似たような表現でも前後の言葉の意味合いでは違反になってしまうことがあります。
健康食品・器具を取り扱う場合には、薬機法(旧薬事法)などさらに詳しい知識をつけて行うことをオススメします。

ホームページは広告規制の対象外

ホームページは広告規制の対象外
ここまで治療院・整体院の広告表現の規制についてご紹介しましたが、規制の対象となる広告媒体は「チラシ」や「情報誌」での広告です。
 
そのため現在、ホームページは広告表現の規制の対象外です。
 
「経歴」「出身校」「施術方法」「流派や所属学会」「効能・効果」などの、チラシや情報誌に掲載できないことはホームページで公開しましょう。
 
チラシや情報誌を使って多くの人に整体院を知ってもらい、ホームページアドレスやQRコードを掲載してホームページで詳細を見てもらう、という流れが効率的でオススメです。
最近は、ホームページやSNSからの予約や問い合わせが多くあります。
 
広告表現の規制で掲載できることが限られていますが、別の媒体で効率良く集客に取り組むことも一つの方法です。
 
※厚労省「広告に関する検討会」でもホームページは「認知性」を満たさないものと定義されており、まだしばらくは規制の対象外になりそうです

整体院・治療院で注意すべき広告表記のまとめ

医療系の資格を取得するには費用がかかる
整体院・治療院で注意すべき広告表現を詳しく解説しました。
いかがだったでしょうか?
 
整体院・治療院で提供するサービスは、医療類似行為にあたるため、医療行為ととられるような表現を広告で使うことはできません。
 
広告する場合は、関係する法律に違反していないかよく確認が必要です。
経歴や具体的な施術内容は、広告規制のないホームページで行いましょう。
 
これから治療院・整体院を開業する方は、参考にしてみてください。